私たちの心がどこにあるのかわかりませんが、私たちの心が毎日せわしなく動いていることは確かなようです。私たちは何かを見たり、聞いたり、出会うたびに、私たちの心は〝躍ったり、騒いだり〟〝引かれたり、傾いたり〟〝開いたり、閉じたり〟しています。心はさまざまな方向へと広がっていき、ひとつのところにとどまりません。 なので、お寺にお参りに来てくださる方は仏さまに心を向けてくださったのだなと思います。寺だよりは、心を私たちに向けてくださる仏さまのお話しを、日常の出来事から伝えることができればと思っています。
丑年、天秤座、O型、三碧木星、觜宿の住職です。
誕生日を毎年お祝いすることは最近の習慣で、戦後になってからといわれています。今日では誕生日はとても大切な日となり、家族、友人をはじめSNSなどで知り合った人にも〝誕生日おめでとう〟の言葉を贈ります。誕生日の何がおめでたいのだろうと思い、めでたいの語源を調べてみると、めでたいは「愛でる」+「甚(いた)し」で、とてもいとおしいという意味です。つまり、おめでとう…
スマートフォンの所有率が国民全体の7割を超え、70歳以上でも5割以上が持つようになりました。スマホは見たいものを見せ、聞きたいものを聞かせてくれる大変便利な道具です。今やスマホなしの生活なんて考えられないという人も多いでしょう。ところで、テレビアニメ 『サザエさん』には現代では当たり前となったこのスマホが登場しません。その理由について、昭和の時代を描いてい…
秋といえば食欲の秋、読書の秋、スポーツの秋、いろいろな秋があると思いますが、江戸の昔に遡れば、秋といえばお月見とこたえる人が多かったのではないでしょうか。ススキと団子を供え、五穀豊穣をご先祖さまに感謝しながら、お月見をすることが何よりの楽しみだったのです。ところで仲秋の名月といわれるように秋の月はなぜ美しいのでしょうか。秋の月が美しく見えるのは、秋は春と違…
歌手の椎名林檎さんが、令和元年に出されたアルバムのタイトルを聞いてびっくりしました。タイトルは「三毒史」! 三国志とかけたのだと思いますが、三毒とは、仏教が説くところの最も悪い煩悩(貪・とん/瞋・じん/癡・ち)のことです。貪はむさぼり、喉がかわくように欲しい欲しいと思うこと。瞋はいかり、常に怒ってキレること。癡はおろかさ、自分は関係ないと何も考えないこと。…
映画『ボヘミアン・ラプソディ』は、世界的ロックバンド・クイーンのボーカルであるフレディ・マーキュリーの生き方を描き、アカデミー賞4冠に輝きました。映画の中でフレディの父親はフレディに対し「お前は、善き思い、善き言葉、善き行い」を実践しているかと、問いかけます。これに対しフレディは「善いことをして何か変わったかい」と返し、伝統的な習慣に固執する父親に批判的な…
「いのちって何ですか?」と唐突に聞かれたら、困ってしまうのではないでしょうか。あわてて「いのちとは生きていることですよ」と答えたとして、「じゃ、いのちは死んでいないことですね」と確認されたら、「ちょっとまてよ」と考え込んでしまいそうです。生きていることだけがいのちといえるのか、疑問がわいてきそうです。いのちは感じ方がとても大切です。いのちの感じ方は大きく3…